谷山弁護士のブログ

谷山法律事務所 弁護士 谷山哲也 横浜市中区不老町1-1-5横浜東芝ビル4階 電話045-212-9690

事業承継

1 事業承継のポイント

将来の会社の経営を誰に委ねるのかは重要です。スムーズに事業を次の世代に承継させるには、以下のポイントが大切です。

(1)株式の所有権を誰に承継させるか

会社経営は代表取締役や取締役によって行われます。取締役は、株主総会の多数決で選任されますので、株主総会で議決権の過半数を持つ者が会社経営を支配することになります。ですから、誰を株主にするかが事業承継においては重要なポイントになります。

(2)どのように株式を承継させるか

たとえば、会社のオーナー社長(会社の株式を100%保有)に妻と、子供2人がいて、妻は専業主婦、長男は父の会社の部長として働き、二男は絵画の勉強のためパリに住んでいるとしましょう。社長の持っている株式は、何の対策もとらないまま、社長が他界すると、法定相続分に従って分けられます。つまり、妻に50%、長男・次男に各25%相続されます。各相続人が相続開始後も仲良くやっていれば良いですが、長男が後継者になった後に、関係が悪化したような場合は、会社の経営がうまくいかなくなります。では、どうすれば良いでしょう?一つの方法は、生前、社長が遺言書を作成し、株式の過半数を長男に承継させるようにしておくことが考えられます。また、生前に株式を長男に贈与することも考えられます。この場合には、贈与した株式は長男の特別受益とされ、相続が発生した際、その分を控除した額しか長男は遺産を相続できなくなります。

(3)会社の定款等の整備

中小企業の多くが、株式の譲渡制限(株主は会社の承認なくして、株式を譲渡できない)をしています。しかし、相続は、ここで言う「譲渡」には当たらないため、好ましくない者に株式が承継されてしまいます。このような事態を避けるには、定款に、相続によって株式を承継した者に対し、当該株式の売渡を請求できる旨を定めることができます。また、会社は権利内容の異なる株式を発行することができます。これを利用して、後継者には普通株式(株主総会での議決権があり、配当を受け取ることもできる)を承継させ、他の相続人には無議決権株式(株主総会での議決権なし)を承継させることが考えられます。

(4)相続税対策

せっかく、後継者に株式を承継させることができたとしても、後継者が相続税を支払うことになり、その資金がない場合には、株式を売却せざるを得なくなるかもしれません。このようなことが起きないように、事業承継を考える場合は、弁護士にご相談いただき、税務関係については、当事務所にご協力いただいている公認会計士、税理士とチームを組んで解決していくことになります。

2 経営承継円滑化法の利用

平成20年10月1日から「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」が施行されています。この法律は、①民法の遺留分についての規定の特例、②金融支援措置など定めています。これらの制度を利用して、事業承継をスムーズに進めることができる場合があります。